2023春EGOK レースレポート

EGOKは年に2回のペースで開催しているので、早くも第6回となりました。

1月の新人戦のように、アリーナモードで人数無制限での開催を考えていました。しかしVRIのマネージャーOscarに連絡したところ、無料で使える期間が終わったとのことだったのでカスタムレースでの開催を余儀なくされ、大会日程が決まった後に急遽フォーマットを変更することになりました。

また、選手の都合に合わせて日程を組んでいて、レースオフィサーがなかなか見つからなかったので、最大フリート数は前回の3から減らし、2フリート(グループ)での進行となりました。

 

今回はそういった事情があったり、余裕だと思って私が準備を先延ばしにしたりしていたので、大会前の数日間はひたすら準備に明け暮れていました。事前準備に関してはいちおう間に合ったのですが、私のスケジュール確認不足で、個人の部のスタート時刻に自分の帰宅が間に合わないという問題が生じていました。

そんななか、運営協力を名乗り出てくれた、シュウトクさん(滋賀)、Sabosan(滋賀)、エイヒレ4811さん(広島)がセッターの役割をきっちり果たしてくれて、またFC RICHさんが直前にスコアラーを引き受けてくれたこともあり、どうにか大会を実施することができました。以上の皆様、ありがとうございました。

 

それでは、簡単にレースを振り返ってみます。(選手名は敬称略)


個人の部

エントリーは40名、当日は36名の出走となりました。前回と比べると選手数が減り、出場校数もおそらく減りましたが、初出場の大学がいくつかありました。

和歌山大学、日本医科大学、東京農工大学から参加してくださった選手の皆様、初出場ありがとうございました。大学内でチームメイトをもっと巻き込んでVRIを練習してくれるとうれしいですし、一緒に遊んでくれる仲間が身近に見つからない場合は、他大学のプレイヤーと積極的に交流してみてはいかがでしょうか。

 

予選レースとなる最初の5レースは、毎レース、ランダムに2フリートに分けなおして進行しました。

この進行方法であれば、事前にフリート分けができ、レース中に選手を待たせなくてすみます。前回大会後、他のレースオフィサーから提案があったので、採用してみました。
2フリートの足並みを揃えるために待ち時間が生まれることは多少ありましたが、運営の当日の負担が減る点や、選手がより多くの他選手とレースができる点などに好印象を持ちました。

ちなみに今回は、Offshore RacerをEGOKで初めて採用してみました。

 

前回の上位3名(FUNe_Yuko(横国), kuyc_31471(京都), トッティ&tottexi(横国))他、常連選手の数名は数レースにわたり安定感を見せていました。それについては特に驚かなったのですが、気になったのはその他大勢の選手のリザルトでした。

以前の大会よりも、よりいろんな選手が前を走る場面を見た気がしました。たとえ最終順位がふるわなくても、1レースでも良い結果を残せたという事実はその選手にとって大きな意味を持つことでしょう。運営としても、そうした結果を見ることで、選手の成長を感じたり、今後の成長を期待できたりするので、非常によろこばしいことです。

それでも改めてレースの動画を見てみると、成績を安定させられていない人は、スタートから苦戦しているか、もったいないペナルティが多いように思いました。リアルセーリングとは違い、接触が当たり前のような世界になってますし、勝つために必要な接触もあるとは思いますが、やはり基本的には他艇とぶつからないように走るのがいいのかなと思います。

 

R6は上位20名によるノーカットレース。スタート30秒前までにレースから出されてしまった人がいたので1度やりなおしがありました。直近のゲームアップデート後、レース内メッセージが送信できず、リスタートの合図がDiscordでしかできなかったため、レース海面に残っていた人はそのノーレースとなったレースをフィニッシュしてからリスタートだと気づくことになりました。

レース内メッセージが送れない場合に備えた、合図の送り方を考えておく必要がありそうです。

仕切り直しでがっかりした人も、助かった思いをした人もいるなかでのR6。さっきのノーレースで1位だったkuyc_31471が1上トップで2位以降と余裕のある差をつけたのはすばらしかったです。これで暫定2位に浮上しました。R6の2位はFUNe_Yuko、ここまで全レース3位以上という圧倒的な成績で大きなリードをしていたので、メダルレースで5位以上を取れば優勝確定でした。

この時点で優勝のチャンスがあるのは、この2人の他、eima(横国)、トッティ&tottexi(横国)、そしてかなり厳しい条件が揃った場合のみ優勝できるkohei(北大)でした。

 

メダルレース。スタートが特によかったのは、トッティ&tottexiとkohei。FUNe_Yukoは上ピン即タックで、悪くないスタートでしたが、その後タック数が増えて2線に沈み、5位あたりをさまようことになりました。eimaはファーストタック後のペナルティ、kuyc_31471はスタートでの出遅れとその後の1ペナルティで苦しい展開に。

コースを引くのが難しい海面でしたが、メダルレースに残っている選手たちは、だいたい同じような読みをしていて、実力が伯仲しているようでした。艇団がばらけたように見えて、上マーク付近ではタイトに集まりだし、そんななかでFUNe_Yukoがタイトカバーから逃げようとタックしたとき、前方の艇に接触。7位まで落ちてしまいました。

 

一方、トップ回航したのはトッティ&totteixiで、そのままの順位差であれば優勝はトッティ&tottexiになります。しかしその後を追うのがkohei。3位以降の艇団が近かったので、ダウンレグでのみこまれる可能性があったのですが、うまく逃げ、トッティ&tottexiよりもうまい回航を決めて、1位との差を縮めました。

その他の艇団は、やはり実力が伯仲しているのでゲートマークで密集し、そこで大きな動きがありました。1つは、FUNe_Yukoのペナルティ&回航ミスによる最下位転落。もう1つは、ゲートマーク手前まで10位だったkuyc_31471が空いてるPマークをうまく回航して中位くらいまで上がり、かつ有利な海面に向かえたこと。上位3名がどうなるのか、いっきに読めなくなってきました。

 

2上は、koheiが有利な海面に伸ばし1位へ浮上。kuyc_31471は大きくゲインし3位へ浮上。FUNe_Yukoが9位、eimaが10位で上マークを回り、最終レグへ。

1位争いは、レグ途中でのkoheiのジャイブが早すぎたため、トッティ&tottexiが有利な位置につけ、最後の最後で順位がひっくり返りました。3位フィニッシュのkuyc_31471は4位以降の艇団と早めに距離をとってそのまま逃げきり。

そして6位以上で優勝という状況になったFUNe_Yukoは、前の艇団で争いがあったり、その艇団が風の弱い中央海面に寄せてくれたりと、一時はまさに6位まで上がりました。しかし、最後の最後でポジション取りを誤り、他艇のブランケに入れられたりして、順位を1つ下げ、もう1つ下がってもおかしくなかったところを鼻差で7位にしがみつき、最終結果は2位に。8位まで落ちていたら最終結果は3位となっていました。

 

ということで、優勝はトッティ&tottexi。前回の3位から2つ上げての勝利でした。まだ2年生で、今度の4月から3年生ということなので、これからさらにうまくなっていって、世界でも活躍してほしいですね。

3位はkuyc_31471。最初の5レースをもっと少ない点数で抑えたかったとインタビューで答えていました。それでも最後の2レースでの追い上げは、おみごとでした。

 

ちなみに今回の1,4,5,7,9位の選手は大会当時2年生、8位の選手は1年生です。

現在の3年生や4年生は、簡単に後輩(広い意味での後輩)に負けないように、現在の2年生は、同学年の選手と切磋琢磨し、1年生は先輩(広い意味での先輩)に早く追いつけるように、今後も練習をがんばってくださいね。


団体の部

エントリーは12チーム+キャンセル待ち1チーム、当日はキャンセルなしで12チーム集まりました。団体の部への初出場校は京都大のみ。個人の部で前回大会から活躍しているkuyc_31471、今回の個人の部で9位だったnewtron、先日の新人戦で2位だったshinshinという3名で、今回の走りが非常に楽しみなチームの1つでした。

 

レースの進め方は個人の部と同様に、毎レースランダムに2グループに分けなおして、予選レースを5本おこないました。

インカレであれば、チームフリートでカットレースはありませんが、eセーリングでは通信切断などが起こりうるので、カットが欲しいという声があります。以前の大会で、メンバー1人だけ1カットにしたことはありますが、今回はチームの合計点が最も大きい予選レースの得点を丸ごと除外するというカット方法を取りいれてみました。

 

前日の個人の部で1,2,5位だった選手で組まれた横国大Bが、予想通り安定した順位で1レースごとにリードをしていく展開になりました。しかし、R1の早稲田7点、R2の東工大Aは1,2,3フィニッシュで6点など、他のチームも意地を見せました。R4では京都大13点、滋賀大17点、R5では横国大A13点と、追い上げてくるチームもあり、2位争いが熾烈になってきました。

R5終了後に1カットの計算をして、上位6チームがゴールドフリートに、下位6チームがシルバーフリートに進出となります。結果として、上で名前をあげた6チームがゴールドフリートに進みました。

団体の部で優勝経験のある北大は惜しくも2チームともシルバーフリートへ。また北大が優勝争いに絡んできてくれることを期待しています。2大会ぶりに出場してくれた広島大も、2チームともシルバーフリートへの進出となりました。悔しい思いをしたとは思いますが、練習や大会への出場を続ければ、間違いなく成長できる力を持っていると信じています。

ちなみに今回のR6,7でシルバーフリートを用意したのは、参加してくれた選手全員に少しでも多くインカレ風のレースをさせてあげたいと思ったからです。

 

ここからはゴールドフリートのレポートになります。

伝統になりつつある2本ノーカット勝負。R6は、ほぼ全艇がいい感じにスタートして、そのレベルの高さがうかがえました。艇団の動きが少し落ちつくと、横国大A, B、東工大Aが少し元気なように見えましたが、その他のチームにもまだまだチャンスはありました。というのも、最後の2レースはUpwind L。

上マークについてみると、横国大Bが上位に2艇いる他は、混雑していてどのチームも大差がないような状態になりました。さらに横国大BのFUNe_Yukoが優勝を確実にすべくマークトラップをしだしたことで、さらに事態は複雑になってきました。ちなみに味方を救うためであればチームレースは可能です。

下りは見てるこっちまで疲れてくるほど、コース引きが難しそうでした。これは上りでも同じことですが、チームレースでは、
自分の順位と味方の順位を考えながら走らなければなりません。どう走るのがチームの点数を最小化できるのかを、刻々と艇団の形や風の状況が変化するなかで考えつづけるのは、とても大変なんです。味方を意識するあまり自分の順位が下がることもしばしばでしょう。かといってわがままに自分のことだけ考えていたら味方がピンチに、なんてことも。

最終的には下マークへのアプローチと回航でトラブルが少ないチームがややリードしました。1上と比べると、東工大A、滋賀大、京都大が少しよくなった雰囲気で、早稲田はやや遅れを取ってしまいました。

2上は艇団が左右に散らばり、風の振れで順位がころころ変わる。上マーク~オフセット間でまたもFUNe_Yukoが周囲の艇を遅らせようと動いていましたが、そのまま3位で逃げてもいいかなと、いち観客の私は思いました。何艇かはその被害を受けたものの、FUNe_Yukoもその後ランニング中にペナルティを受け味方を救えないまま後退。各所でなんやかんやあり、3艇をまとめきれないチームが多いなか、横国大A, Bの2チームが比較的少ない点数にまとめていました。

 

最終レースのR7は上有利(上人気)のスタート。R6は下有利(下人気)だったので、さっきとは雰囲気が違いました。上有利のスタートは、リコールがつきもの。横国大Bと滋賀大から1艇ずつリコールが出てしまい、本船付近では4艇ほどペナルティを受けていました。滋賀大は1艇リコールしたものの、他2艇のスタートがよかったです。しかしそのうちの1艇がスタボ艇を避けるのに遅れてペナルティ。他は京都大や東工大が高いように見えました。

風の振れ方が難しく、コース引きの良し悪しで順位が変動していき、1上終盤に来ると、早稲田が上がってきました。横国大の2チームが中盤から下位にかたまる波乱の展開。リーチングレグでも順位が大きく動き、全チームがまたほぼ横並びになりました。2位以降の混戦状態を遠くから眺める1位は、滋賀大のSabosan。ここまで2位以降と離れると味方を救うのは難しいので、味方を信じてそのまま前を走っていました。

下マークが近づくにつれて何が何だかわからなくなってくるなか、特に目立っていたのは滋賀大のシュウトク。リコールで出遅れ、オフセットからダウンレグ中盤までは最下位でしたが、レグ終盤に風の強いところをブランケを受けずに走り、回るべきマークを正しく判断し、ケースを起こさずきれいに回るという、お手本のようなアプローチと回航を見せてくれました。1年生ながら運営に協力してくれているだけでも際立った存在なのに、大事な場面でこんなパフォーマンスを見せてくれるなんて、もう彼の虜にならずにはいられません。

滋賀大のもう1人のキーパーソンCLM26reiも安全かつ鋭い回航を見せ、流れがいっきに滋賀大に来ました。気づけば横国大2チームが元気を取りもどし、東工大Aがやや苦しそうでしたが、まだまだ何が起こるかわかりません。

上マーク~オフセット間で艇団が少し縦に伸び、左右のブロ―差がはっきりしてなかったためか、最終レグは1下よりも艇同士が離れて快適そうに走っているように見えました。とはいうものの、バトルが生まれる場面は少しあり、多少の順位変動がありながら全艇フィニッシュ。

R7単体では、滋賀大が1位で、横国大2チームがそれに続きました。

 

最終成績は、1位が横国大B。2位と49点差をつけて圧勝。2位は横国大A。決勝レースでの安定感がすばらしく、それが結果に直結する形になりました。
そして3位は滋賀大。2位とは7点差でした。滋賀大の選手は日本VRIクラブのレースや練習だけでなく、海外コミュニティのレースにも参加していくことで、着実に力をつけてきました。3位ではあるものの、個人的には最も印象に残ったチームでした。

4位は早稲田。R5までは順調でしたが、最後の伸びが足りず初の表彰台を惜しくも逃してしまいました。5位は東工大A。2位と3位になったことのある東工大ですが、優勝はまだありません。強い東工大の復活を楽しみにしています。6位は京都大。個々の実力は問題ないはずですが、チームフリートに苦戦しているような印象でした。

 

団体の部で上位を目指すためには、チームフリートやチームレースの練習はもちろん推奨します。しかし、そうした練習がなかなかできなくても、チームメンバーがそれぞれeセーリング(セーリング)の基礎力を上げていくだけで結果はかなり良くなると思います。どんなレース形式でもいいので、チーム一丸となってぜひ練習を積み重ねてみてくださいね。


2023春EGOK 成績表リンク