北大ヨット部のホーム、祝津へ

 2022年度春期EGOK団体の部で優勝した北海道Aのメンバーを祝うべく、4月中旬、私KG-Rは祝津ヨットハーバーを訪問しました。その頃、関東ではもう桜が散りおわっていた時期だったと思いますが、北海道のほとんどの地域ではまだ開花前、そこここの道端に雪が残っていたり山が白かったりと、まだ冬が終わっていない様子でした。現に、冬季休業している施設も見かけました。

 羽田空港を出発するときはTシャツ1枚じゃないと暑かったですが、新千歳空港に到着して電車に乗り、次の停車駅でドアが開いたときに入ってきた外の空気はとても冷たく、すぐに上着を2枚着ました。天気予報アプリなどで気温が数値的には分かっていたものの、気温差のせいかとても寒く感じました。移動のみの1日目、北海道の天気はくもり時々雨、電車から見える海は灰色。私は不安になりました。

(明日、自分はこんな海でヨットに乗るのか?こんな寒さで?)
 北大ヨット部(以下、北大)の方と事前に相談した結果、私は1日練習にまぜてもらうことになっていたのです。

 

 ちなみに1日目の午後は小樽市内の自然や商店街を歩きまわりました。後日スマホの歩数計で確認したところ、この日は約20,000歩分歩いていたようです。やや重いリュックを背負っていたこともあり、足や肩がかなり疲れました。でも疲れた分、ホテルの温泉が気持ちよかったです。
 翌日、朝早くからホテルでおいしい朝食をいただき、始発のバスで祝津のハーバーへ向かいました。北大は8時出艇とのことで気合が入っています。8時より前にハーバーに到着できたので、北大の皆さんに軽く挨拶をしてから、なるべく早く準備を済ませ出艇。前日の天気とはうってかわって雲は多少あるものの青空が広がり、気温はそこまで低くなく、風が穏やかだったため、念のため用意していたハーフパンツを意気揚々とはいて出艇しました。

 私は知らなかったのです、北海道の4月の海を。祝津の海の冷たさを。海に足を突っこんだ瞬間に後悔しました。一番冷たいときの相模湾の海を軽く超える冷たさ。深雪に素足を突っこんだかと錯覚してしまうような冷たさ。おそろしい冷たさでした。ウェットスーツのズボンは持ってきてたのですが、予定から少し遅れての出艇でしたし、ほんの少しの辛抱だと思い結局そのまま船に乗りこみました。午前の着艇と午後の出着艇のことは考えないようにし、練習に集中しました。
 午前中、スナイプに一緒に乗ってくれたのは、新3年生のクルー牧野さん(ありがとうございました!)。じつは今回優勝した北海道Aのメンバーは全員470チームとのこと。ほぼほぼ乗ったことがない470に無理に乗って迷惑をかけるわけにもいかなかったので、海上ではスナイプチームのメンバーと交流をしました。おそらくBチームが全員スナイプチームでしたが、大会直前に都合がつかないメンバーが出てしまい無念のキャンセル。次こそは2チーム揃って出場できるといいですね。
 大学や海域によってヨットに関する「普通」が違うことを知るのは、ヨットの楽しさの1つだと思っています。見たこともないような艤装やセールにはもちろん興味をそそられましたが、一番印象に残っているのはスナイプのブームについている、アウトホールを簡単に出し入れできるレバーの呼び方です。私が所属していた都立大ヨット部では「ガシャンコ」もしくは「えび・えびちゃん・エビフライ(などなど)」という愛称があり、私は「ガシャンコ」派です。牧野さんにそれを教えたら笑われました。私も牧野さんに北大ではそのレバーを何と呼んでいるか聞いたときはあまりの意外性に笑ってしまいました。その名も

「ぺたん」

 なんとかわいらしい響きでしょう。本当はカタカナ表記が正式かもしれないですが、私はひらがなでイメージしてしまいました。軽く調べてみたところ「パッタン」という呼び方もあるみたいですね。正式名称が「タックレバー」であることは正直今の今まで知りませんでした。うちではこんな呼び方してる(してた)、という情報をコメントで教えていただけるとうれしいです。

 北大の練習は、なまりきった私の肉体には少しきつかったです。ほぼ休憩することなく、ぶっつづけセーリング。風が強くなかったのでなんとかなりましたが、初めての船とセールと海、かつ久々のヨットということで、ちゃんと走れていたかどうかは怪しいです。でも、ハイクアウトが必要なときはもちろんさぼらなかったですよ。

 何はともあれ、良い景色に囲まれたセーリングは幸せでした。ところでどうして人は、陸にいるときは海に見惚れ、海にいるときは陸に見惚れてしまうのでしょう? そういう感覚は私だけのものではないような気がしたので「人」を主語にしてみましたが、皆さんはどうですか?
 着艇時の入水は、冷たさを知っていて心の準備ができていたので、足にさほど刺激を感じなかったように思います。お昼は練習反省をしながら食事をしました。感心していると話を振られたのでおにぎりを食べながら私も参加。食事後は北海道Aのメンバー、RX-0 UNICORNさん・koheiさん(haruki1439さんはお休みでした)と写真を撮ったり、試乗会に参加するたくさんの新入生が到着して自己紹介タイムが始まったりと大忙し。北大の新入生に向けてひと言を求められる無茶振りを冷や汗かきながら乗りきり、午後は新3年生で最近スキッパーに転向したという佐藤さんと乗りました(ありがとうございました!)。佐藤さんはdaiichiという名前でVRIをプレイしており、私がEGOKで注目している選手のうちの一人です。
 試乗会と練習が平行して行われたのが私にとっては新鮮で、その手際のよさにまたまた感心しました。午後の練習メニューは上下マーク回航のみで、やはりノンストップ。他艇と競争したり、クルーの動作を思いだしながら極めたりするのが楽しかったので、疲れはしたものの集中力は比較的保てました。スキッパーに成りたての佐藤さんがめきめきと上達していくのを感じてうれしくなったことも、私が最後まで集中できた要因のひとつだと思います。あと、近くに試乗会艇がいたり、新入生を乗せたレスキューがいたりしたことも、気を引き締めることができた要因かもしれません。下手な動作を見せて新入生をがっかりさせることはできませんからね。

 ちなみに午後の出艇前に下の服装を着がえる時間はありましたが、余計に荷物を濡らしたくないという気持ちと、単純にいじっぱりな気持ちでハーフパンツを貫きました。午後の出艇のときは海がなぜかまた極度に冷たく感じて、高速足踏みをしてごまかそうとしました。つまり、ごまかせませんでした。ですが着艇のときは、これが最後の入水だ、という安堵からか、もう冷たさを感じなかったと思います。安心してください。足は無事です。

 

 そんなこんなで1日練習に混ぜていただき、北大の雰囲気や部員たちの情熱などを存分に感じることができました。別れ際、「ぜひ暖かいときにまた来てください」と言ってくれましたし、私としても夏の祝津が気になるところなので、余裕があれば本当にもう一度行きたいと思います。そのときは北大OBの有名な eセーラーとお会いできたらいいなと夢想しています。
 ハーバーを離れた後は、近くにある灯台のところまで上って景色を楽しんだあと、徒歩で小樽駅まで帰りました。途中でおいしいカツ丼を食べて、平面的な地図だけ見て近道だと思った道がものすごく急な坂になっていて、でも上りきったあとに見えた夜景は案外きれいで、ホテルについた後はすぐ温泉に入り、OES予選のナクラを少しやってから寝ました。この日は約12,000歩分歩いていたようで、日中のセーリングと前日の疲れも重なり、心地良いだるさのまま目が重くなり眠りにつきました。

 翌日はゆっくり起き、ホテルの食べ放題の朝食を限界まで食べ、小樽駅を出発しました。この日は雨で寒かったです。札幌駅で下車し、駅周辺や豊平川沿いを散歩したあと新千歳空港に向かい、空港の土産物屋を時間ギリギリまで回りました。羽田空港から自宅まで電車を使うとはいえ、途中途中で必要な徒歩がきつかったです。帰宅したこの日は約24,000歩分歩いていたみたいです。祝津でセーリングをしたことは間違いなく印象的で忘れることはありませんが、3日間でたくさん歩いたという思い出がそれ以上に強く残ってしまいました。

 

 

 はっきりとしたことは言えませんが、今後も初優勝選手や初上位入賞選手には賞状などを直接お渡ししにいくかもしれません。個人の部での優勝や上位入賞も対象になりえます。次回大会に参加希望の皆さん、ぜひ良い結果を残して私KG-Rを家の外に連れだしてください!

 なお、今回の北大のように練習に参加することは、交流のひとつの例にすぎません。昨年秋期大会の後、横国大の合宿所に訪問したときは、都合により長い時間いられなかったこともあって、1レースだけですがVRIを一緒にやりました。そういう交流も大歓迎ですし、他にも希望があればできるかぎりお応えしたいと思っています。

 また、EGOKで上位入賞していなくても、リアルセーリング、eセーリング問わず練習に呼んでくれればほぼいつでも協力します。私に交通費等が発生しないかぎり無料で協力する予定です。つまり、eセーリングや、すべてがオンラインで済む依頼であれば無料で引き受けるつもりですので、もし興味があれば気軽にご連絡ください。